北海道恵庭市恵み野にある「北海道ハイテクノロジー専門学校」を訪問し、ITメディア学科 学科長の中田さん、ITメディア学科eスポーツ担当専任教員の下川さんにお話を伺ってきました。eスポーツに感じる時代の変化や新しい流れを自分でやってみたかったと、専任教員に就いた下川さん。
下川さんは学生時代に世界大会の実況解説者として活躍されました。選手、イベンター、インストラクター、ストリーマーと多岐にわたって活動しました。その後監督として、オーバーウォッチ部門国内優勝やPlayerUnknown‘s Battlegrounds1部リーグ昇格にも関わっています。
「北海道にeスポーツチームが立ち上がり、北海道でeスポーツを盛り上げたい」という想いから、eスポーツを総合的に学び、様々なプロジェクトの型を身に着けることができる学科を目指しています。また、習熟度に合せたレベル別指導を行っているため、自分のペースで取り組むことができることが大きな強みだといいます。
日々の学習では、基本的なITスキルを身に着けつつ、なるべく外部との関わりを増やすことで生徒達の自主性を養えるようにしているとのこと。
一般的には決められたカリキュラムに沿って進めることの方が運営としては楽になるのですが、そのことで生徒たちが受け身になってしまい、本来の目的である社会人に必要な考える力やスタンスに影響してはいけないという下川さんのこだわりがあります。
ITメディア科では、生徒と教員が一緒になって学習計画を立て、ゴールを設定し、そこに辿り着くために必要なステップや課題を洗い出し、分担しながら進めるプロジェクト型学習を採用しています。
ゼロからイチを生み出すことは大変ですが、プロジェクトが完成した時のチームでの達成や生徒の成長は何物にも代えがたいと現在のスタイルを続けられています。また、企画を立てて実行しチェックを入れて次の行動に結び付けるサイクルを身に着けることで業界から求められる力が身に付くといいます。
北海道ハイテクノロジー専門学校ITメディア科の基本方針は「企業と学ぶ、業界で学ぶ」産学連携を目指しているとのこと。学校でのeスポーツイベント運営に加えて、地元のプロスポーツチームや企業、北海道eスポーツ協会と連携した外部イベントの運営にも力を入れています。
2019年4月サッポロファクトリーアトリウムで行われた「HOKKAIDO ESPORTS FESTIVAL」を北海道ハイテクノロジー専門学校が主催しました。在校生中心のイベント運営チームがeスポーツ業界や企業と連携しながら様々な企画を実施しました。2021年は主催を北海道eスポーツ協会に引継ぎ、在校生も共同でオンラインイベントを運営しました。これらの活動がきっかけとなり、いまでは産業連携企業は15社を超える規模に成長しています。
昨年設立されたITメディア科では約40名の学生が在籍しています。eスポーツ専攻は1年生前期から専攻授業が始まりますが、ITメディア学科は最初の半年でプログラミングやデザインの基礎を学びながら、各専攻の先輩の授業に入って専攻の学びや魅力を体験することができます。
入学時にやりたいことが決まっていなくても、それぞれの専攻の良さを理解してからコースを決めることができるため学生も安心して通ってこられるそうです。
eスポーツを総合的に学ぶために、必須にしている教材タイトルと部活動では好きなタイトルに取り組んでいます。
新しく建てられた校舎の中にはeスポーツのイベントを配信・編集するために必要な機材が準備され、eスポーツをトレーニングできる大きな専用ルームが2部屋ありチームや個人で集中して練習するための環境も整っています。eスポーツのプロチームに所属して給料を貰いながら学校に通っている現役学生もいるとのこと。
eスポーツ専門の学校はまだまだ珍しいものとして扱われていますが、将来的にはeスポーツが仕事として当たり前に選ばれるような環境を整えていきたいと言います。
今は地元企業から依頼を受けていますが、将来的にはより多くの企業からプロジェクトを受注できる体制やスキルを身に着け、学生でありながら仕事としても地域に貢献できるように活動を拡げていければと今後の展望も教えてくださいました。
最後に、ゲームが好きな学生は是非この学校に来て欲しいと熱いメッセージをいただきました。